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Exhibition After Report – TERÁN ‘Fantasías de Picasso’

Exhibition After Report – TERÁN ‘Fantasías de Picasso’

スペインを拠点に活躍するチリ人アーティスト、TERÁNによる日本初個展がGalerie GEEK/ARTにて2025年4月27日~5月25日まで開催され、たくさんの方に来館いただき無事に幕を閉じました。

 

TERÁNはフランシス・ベーコン、ピカソ、バンクシーといった芸術家たちの作品に真摯に向き合い、ヴェネツィア派に由来する伝統的な絵画技法を土台に自らの筆で再解釈を試みることで、過去との「対話」を重ねてきました。ただの模倣ではなく、時空を超える彼自身の絵画言語によって構築された世界を生み出しています。

本展では、「もしピカソが“架空の旅人”として葛飾北斎の世界へ足を踏み入れたら、日本の風景をどうみただろうか?」という空想から生まれた新作群を発表しました。現実にはあり得なかった異なる時代と文化の融合された光景が、リアルかつユーモアを持って描かれています。

単なる再解釈にとどまらず、美術史そのものを折り重ね、拡張するような絵画的実験でもあり、ピカソは観察者ではなくもう一つの時空の積極的な参加者として、変容しながらユーモアと反骨精神を持ってピカソ自身も表現を展開しています。

敬意を込めたオマージュ作品でありながら象徴的なイメージ(富士山やピカソ自身のイメージ)を新たな視点から再発見する旅への招待状でもあるとTERÁNは語っています。

 

High Ascent, Alter Ego – 凱風快晴

北斎の作品の中でも代表的な富嶽三十六景の一枚《凱風快晴》をモチーフとした《High Ascent, Alter Ego》は、「赤富士」に触発されて自らの芸術家としてのエゴと向き合う姿を描いています。

凧を上げるピカソは、まるでその凧に自らのエゴを託し、富士よりも高く舞い上がらせようとしているかのようです。富士山(日本の象徴であり,北斎の代表作)との個人的な闘いであり、全てを超越しようとするピカソの欲望の表れでもあります。

 

Minotaur’s Dream – 蛸と海女

通称《蛸と海女》(春画集『喜能会之故真通』)と呼ばれる浮世絵の前に、ミノタウロスの仮面を被ったピカソが佇んでいます。 海女が蛸の抱擁に身を委ねて体を震わせ、彼女の柔らかい肌に筆を走らせていたところ、ピカソは視線を感じて、ミノタウロスの仮面の中からゆっくりこちらを振り返り仮面の奥から暗い眼差しをこちらに向けます。その視線の先には、湿った熱気に包まれたこの夢の中で、観る者もまた彼とともに囚われているという感覚が広がっています。

 

The Ghost of Casagemas – こはだ小平次

昼下がりの静けさの元、ピカソがハンモックで穏やかに眠る姿に、忍び寄る影《こはだ小平次》の手がゆっくり伸びてきます。指先が微かにピカソの身体に触れたとき、彼は夢の中で身を震わせ、微かな吐息を漏らします。北斎の描く小平次はピカソにとっての亡き友人カサデマスでもあります。彼は何を伝えにきたのでしょうか?非難なのか、優しかさ、それとも警告だったのか。決して癒えることのない傷があるということを思い出させに、ただ見てほしいと願っているだけかもしれません。

 

『Fantasías de Picasso』という架空の旅が示すように、TERÁNはこれからも新たな時空を越え、自由な発想と深い洞察で私たちを驚かせ続けることでしょう。アートは単なる美の表現にとどまらず、想像力をかき立て、私たちの実生活に深く関わる力(例えば、他者に対する思いやりや優しさ)を持っている、ということを彼は改めて気づかせてくれます。

TERÁNの作品は、その力をまさに体現しており、私たちに今の時代にこそ必要な想像力を掻き立て、新たな視点や感動を与えてくれました。
私たちは、これからも彼の創作の旅と挑戦に伴走し、その表現をともに世界へ届けていけたらと願っています。

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