リマスターアート額装【冨嶽三十六景 神奈川沖波裏】

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北斎のみならず浮世絵の中でも最高傑作といわれる作品。荒れ狂う波涛、自然の猛威になすすべもない船上の人々。それらの向こうに鎮座する富士。見る者に自分も海面に漂い、大波を見上げて波間に富士の姿を垣間見ているような感覚を抱かせる。波間には３艘の船が見える。この木造船は「押送（おしょくり）船」と呼ばれた。右側二艘の船縁に４人ずつ、計８人の頭が並んでいる。 

江戸湾を八丁櫓（はっちょうろ）で漕ぎ進んだ高速艇である。船の目的は鰹（かつお）。地元の漁師が釣り上げた鰹を海上で買い付け、日本橋の魚市場を目指して全速力で戻った。江戸っ子は、この絵を見るたびに初鰹を思い、食欲をそそられたという。 

©︎Ars Techne Corp. / Collection : Yamanashi Prefectural Museum