
TERÁN
High Ascent, Alter Ego
サイズ |
H910 W1770 mm |
制作年 |
2025
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カテゴリー |
Painting |
配送 |
展示会終了後 3-4週間以内に発送予定 配送料に関しては別途 上記のご案内を確認ください。 |
素材 |
Oil on Canvas |
作品説明
この作品は、ピカソが北斎の「神奈川沖浪裏」や富士山に触発され、自らの芸術家としてのエゴと向き合う姿を描いています。アトリエで凧を揚げるピカソは、まるでその凧に自らのエゴを託し、富士よりも高く舞い上がらせようとしているかのようです。彼の視線の先には、夕日に染まり、赤く燃えるような富士山が広がっており、それは静けさに挑むかのような色彩の爆発として描かれています。
強い風が吹いていても、ピカソは気に留めません。彼にとって重要なのは、ただひとつ――凧を揚げるという行為そのものであり、それは山との個人的な闘いであり、すべてを超越しようとする欲望の表れでもあります。
彼は、静寂の中で北斎が自分よりも高く飛んでしまったことに耐えられず、さらに、富士が落ち着かない自分の魂の上に、いまだにそびえているという事実を受け入れることができません。空中で震えながら上下に揺れ動く凧は、まるで彼の葛藤と戯れているかのようです。
やがて、光と影が織りなす風景のなかで、ピカソはふいに声を上げて笑い出します。そこにあるのは、怒りではなく、むしろ自分自身への可笑しみでした。彼はようやく気づくのです――自分はこれまでの人生を通して、ずっと闘い続けてきたのだと。それは、まるで宇宙に挑むような終わりのないゲームであり、「超えたい」という衝動こそが、彼の本質なのだと。
この作品は、自然と対峙するなかで浮かび上がる人間の野心と葛藤、そして飛び続けようとする意志を描き出しています。ピカソは、凧のように―これからも飛び続け、挑み続け、富士よりも高くあろうとするのです。
《凱風快晴》(がいふうかいせい)は、葛飾北斎による『富嶽三十六景』の一枚で、「赤富士」という愛称でも広く知られています。夏の早朝、澄んだ空と柔らかな南風(=凱風)に包まれ、朝日に照らされて赤く染まる富士山の一瞬を描いた作品です。
画面では、富士山の山肌が赤く輝き、下には青緑の樹海、空にはいわし雲が広がります。力強い色のコントラストと繊細な筆致により、富士の雄大さと静けさが際立ちます。雲一つない空と整った構図が、まるで神聖な風景のような静謐さを醸し出しています。
この作品は、当時広まっていた「富士講」と呼ばれる民間信仰とも深く関わっており、日本人にとって特別な存在である「霊峰富士」を象徴的に表現したものと考えられています。北斎が追い求めた自然の美と造形の美が結実した、極めて完成度の高い一枚です。
アーティスト

TERÁN
テランは、ヨーロッパやラテンアメリカの著名なギャラリーやアートフェアで作品を発表し、国際的に高い評価を受けるアーティストです。彼の表現は、伝統と現代性を融合させた独自の絵画言語に特徴があり、都市の風景や視覚的記憶をテーマに、新しい技術を取り入れながらアートの可能性を探求し続けています。近年のプロジェクトでは、2024 年にスペイン各地のギャラリーで発表された「Making-of」が高い評価を得ました。さらに、2025 年にはアテネオ・デ・マドリードで「Fontana へのオマージュ」を展示しています。これは現代アートの象徴的な存在であるルーチョ・フォンタナに敬意を表した作品となります。
同じく2025年4月には、新作「Fantasías de Picasso」シリーズを東京で発表し、日本での初個展を開催しています。本展は、テランののキャリアにおける重要な節目となっており、日本の観客との出会いを通じて、文化を越えた視覚的対話を生み出す貴重な機会を創出しています。 テランの作品は、異なるスタイルを交錯させ、絵画のコードを再構築することで伝統に挑戦するという独自の視点を持っています。このシリーズは年末にスウェーデンのヘルシンボリへ巡回し、国際的な活動を広げていきます。彼は、大胆なアプローチでアイロニーを創造の手段として用い、鑑賞者がイメージとどのように向き合うかを問い続けています。
長年にわたり、彼の作品は数々の賞賛を受けており、2013 年にはマドリードで「ラテンアメリカの100 人のパーソナリティ」の一人に選ばれました。また、2005 年以降に各都市を巡回した「Retrato Capital」や、アントニオ・サウラ財団およびアテネオ・デ・マドリードで発表された「天才たちへのオマージュ」シリーズなど、偉大な芸術家たちに敬意を表する作品も発表しています。さらに、2022 年にはユネスコ・パリ本部で開催された「ラテンアメリカウィーク」にも参加し、国際的なアートシーンにおける存在感を強めています。
マドリードから東京へ、そして世界各地へ。テランは現代絵画の境界を探求しながら、国境を越えたアートのビジョンを提示し、今日のアートシーンを豊かにし続けています。