TERÁN
Minotaur's Dream
| サイズ |
H910 W1170 mm |
| 制作年 |
2025 |
| カテゴリー |
Painting |
| 配送 |
展示会終了後 3-4週間以内に発送予定 配送料に関しては別途 上記のご案内を確認ください。 |
| 素材 |
Oil on Canvas |
作品説明
この作品は、闘牛の仮面をかぶったピカソが、まるで夢の中をさまようように思考を漂わせる姿を描いています。(ミノタウロスの夢)
すると突然、漁師の妻がタコのしなやかな抱擁に身を委ねます。
波打つような筆致が彼女の肌をなぞり、画家は魅了されながら、欲望と泡の触手を解きほぐしていきます。海のあえぎと身体の震えが、原始的なリズムの中で絡み合い、やがて彼の筆はぴたりと止まります。
その瞬間、背筋を一筋の震えが走ります。
ピカソはゆっくりと振り返り、仮面の奥から暗い眼差しをこちらに向けます。
まるでそのとき、自分が見られていることに突然気づいたかのように――
その視線の先には、湿った熱気に包まれたこの夢の中で、観る者もまた彼とともに囚われているという感覚が広がっています。
通称《蛸と海女》と呼ばれるこの作品は、葛飾北斎が文化11（1814）年に出版した春画集『喜能会之故真通（きのえのこまつ）』の中の一場面です。北斎はこの作品を「鉄棒ぬらぬら」という別名義で発表しており、これは当時の幕府による厳しい出版統制を避けるためのものでした。春画は当時、匿名で制作・流通されることが一般的で、狩野派など当時の一流絵師たちも密かに携わっていたとされています。
この作品は、女性と二匹の蛸を描いた非常に特異な構図で知られています。人と動物、夢と現実の境界を曖昧にしながら、当時の創造性と官能表現の自由さを象徴する一作です。画中には絵だけでなく長文の詞書（ことばがき）も添えられており、物語性や感情描写が豊かに表現されている点でも注目されています。
《蛸と海女》は、その大胆さだけでなく、構図の巧みさや筆致の美しさ、言葉と絵の融合による表現力の高さなどから、国内外で高い芸術的評価を受けています。今日では、江戸文化の一端を知る貴重な資料として、多くの研究や展覧会で紹介されています。
アーティスト
TERÁN
テランは、ヨーロッパやラテンアメリカの著名なギャラリーやアートフェアで作品を発表し、国際的に高い評価を受けるアーティストです。彼の表現は、伝統と現代性を融合させた独自の絵画言語に特徴があり、都市の風景や視覚的記憶をテーマに、新しい技術を取り入れながらアートの可能性を探求し続けています。近年のプロジェクトでは、2024 年にスペイン各地のギャラリーで発表された「Making-of」が高い評価を得ました。さらに、2025 年にはアテネオ・デ・マドリードで「Fontana へのオマージュ」を展示しています。これは現代アートの象徴的な存在であるルーチョ・フォンタナに敬意を表した作品となります。
同じく2025年4月には、新作「Fantasías de Picasso」シリーズを東京で発表し、日本での初個展を開催しています。本展は、テランののキャリアにおける重要な節目となっており、日本の観客との出会いを通じて、文化を越えた視覚的対話を生み出す貴重な機会を創出しています。 テランの作品は、異なるスタイルを交錯させ、絵画のコードを再構築することで伝統に挑戦するという独自の視点を持っています。このシリーズは年末にスウェーデンのヘルシンボリへ巡回し、国際的な活動を広げていきます。彼は、大胆なアプローチでアイロニーを創造の手段として用い、鑑賞者がイメージとどのように向き合うかを問い続けています。
長年にわたり、彼の作品は数々の賞賛を受けており、2013 年にはマドリードで「ラテンアメリカの100 人のパーソナリティ」の一人に選ばれました。また、2005 年以降に各都市を巡回した「Retrato Capital」や、アントニオ・サウラ財団およびアテネオ・デ・マドリードで発表された「天才たちへのオマージュ」シリーズなど、偉大な芸術家たちに敬意を表する作品も発表しています。さらに、2022 年にはユネスコ・パリ本部で開催された「ラテンアメリカウィーク」にも参加し、国際的なアートシーンにおける存在感を強めています。
マドリードから東京へ、そして世界各地へ。テランは現代絵画の境界を探求しながら、国境を越えたアートのビジョンを提示し、今日のアートシーンを豊かにし続けています。