
TERÁN
Picasso and The Great Wave off Kanagawa Ⅱ
サイズ |
H910 W1770 mm |
制作年 |
2024 |
カテゴリー |
Painting |
配送 |
展示会終了後 3-4週間以内に発送予定 配送料に関しては別途 上記のご案内を確認ください。 |
素材 |
Oil on Canvas |
作品説明
この作品の中で、ピカソはアトリエで「神奈川沖浪裏」を眺めながら、何かが足りないと感じ、荒れ狂う 波の前に叫ぶ女性を描き加えています。 彼女の顔は激しく歪み、その叫びはまるで波と溶け合うかのように感じられます。 顔の輪郭は波の曲線と交わり、海の静けさと叫びの激しさが対比をなすことで、強い緊張感を生み出して います。この作品には、静寂と嵐のあいだで、自然と人間の苦悩が交わり合いながら浮かび上がる、「内 なる混沌」が映し出されています。
《神奈川沖浪裏(かながわおきなみうら)》は、葛飾北斎が1831年頃に手がけた浮世絵版画で、『富嶽三 十六景』の中でも最もよく知られた一枚です。巨大な波が小舟を呑み込もうとする迫力ある構図の背景に は、静かに佇む富士山が描かれ、自然の力強さと人間の営みとの対比が鮮やかに表現されています。
画面に登場する舟は「押送り船」と呼ばれ、伊豆や房総の沿岸から江戸へ鮮魚や野菜を運搬していた実在の 輸送船です。このように北斎の作品には、当時の生活や経済活動がリアルに反映されています。色彩面で は、ヨーロッパから新たに輸入された「プルシアンブルー」という顔料が用いられており、従来にはなかっ た深く鮮やかな青が波の力強さを引き立てています。また、遠近法を取り入れた構図によって、近景の波と 遠景の富士山との奥行きが強調され、視覚的にも革新性の高い作品となっています。
この版画は、日本のみならず西洋の芸術家にも大きな影響を与えました。画家のゴッホは弟テオに宛てた手 紙で北斎を称賛し、作曲家ドビュッシーはこの作品に着想を得て交響詩『海(La Mer)』を作曲したとさ れています。《神奈川沖浪裏》はその人気から多くの版が制作されており、初刷の優品はメトロポリタン美 術館や大英博物館、MOA美術館など、国内外の著名な美術館に所蔵されています。迫力ある構図と繊細な 色彩、そして時代を超えた普遍的なテーマ性によって、今日でも世界中の人々を魅了し続けています。
アーティスト

TERÁN
テランは、ヨーロッパやラテンアメリカの著名なギャラリーやアートフェアで作品を発表し、国際的に高い評価を受けるアーティストです。彼の表現は、伝統と現代性を融合させた独自の絵画言語に特徴があり、都市の風景や視覚的記憶をテーマに、新しい技術を取り入れながらアートの可能性を探求し続けています。近年のプロジェクトでは、2024 年にスペイン各地のギャラリーで発表された「Making-of」が高い評価を得ました。さらに、2025 年にはアテネオ・デ・マドリードで「Fontana へのオマージュ」を展示しています。これは現代アートの象徴的な存在であるルーチョ・フォンタナに敬意を表した作品となります。
同じく2025年4月には、新作「Fantasías de Picasso」シリーズを東京で発表し、日本での初個展を開催しています。本展は、テランののキャリアにおける重要な節目となっており、日本の観客との出会いを通じて、文化を越えた視覚的対話を生み出す貴重な機会を創出しています。 テランの作品は、異なるスタイルを交錯させ、絵画のコードを再構築することで伝統に挑戦するという独自の視点を持っています。このシリーズは年末にスウェーデンのヘルシンボリへ巡回し、国際的な活動を広げていきます。彼は、大胆なアプローチでアイロニーを創造の手段として用い、鑑賞者がイメージとどのように向き合うかを問い続けています。
長年にわたり、彼の作品は数々の賞賛を受けており、2013 年にはマドリードで「ラテンアメリカの100 人のパーソナリティ」の一人に選ばれました。また、2005 年以降に各都市を巡回した「Retrato Capital」や、アントニオ・サウラ財団およびアテネオ・デ・マドリードで発表された「天才たちへのオマージュ」シリーズなど、偉大な芸術家たちに敬意を表する作品も発表しています。さらに、2022 年にはユネスコ・パリ本部で開催された「ラテンアメリカウィーク」にも参加し、国際的なアートシーンにおける存在感を強めています。
マドリードから東京へ、そして世界各地へ。テランは現代絵画の境界を探求しながら、国境を越えたアートのビジョンを提示し、今日のアートシーンを豊かにし続けています。